乳腺の三大疾患は ≪ 乳腺症、 線維腺腫、 乳癌 ≫ です。
自覚症状は乳房痛、しこり、乳頭分泌、乳輪部位のかぶれ、腋窩のしこりです。乳房痛としこりで受診されるかたの多くは正常あるいは乳腺症です。
線維腺腫は20~30歳台の若い女性にみられます。
一方、痛くない動きづらい硬いしこり、皮膚が凹んで見えるしこりは乳癌のリスクがあります。
そのほかに葉状腫瘍、皮下腫瘍(粥状腫)、乳房脂漏性角化症、乳頭びらん、湿疹、Paget病、高プロラクチン血症(乳房痛や乳汁分泌)、モンドール氏病(乳房皮膚の血栓性静脈炎)、初産婦に多い授乳期乳腺炎があります。また授乳と関係しない乳輪下膿瘍は難治性です。
しこりの多くは良性ですが、乳癌も否定できず自己検診を定期的におこなうことが大切です。しこりを感じた時は乳腺外科医を受診してください。
※ 乳腺の病気は外科です。
≪ 最近の疫学情報(国立がんセンターがん対策情報センター2010)≫
2010年の乳癌罹患数は女性の悪性腫瘍のなかで最も多く76,041人です。
大腸癌、胃癌、肺癌、子宮頚部癌、肝癌、膵臓癌、子宮体癌、悪性リンパ腫の順になります。
一方、乳癌による年間死亡数は2009~2012の期間11,918~12,529人と一万人を超えています。
大腸・直腸癌、肺癌、胃、膵臓より少なく罹患者数と比べ、予後は良いがんといえます。
アメリカ合衆国では検診率の向上に伴い死亡率の減少がみられ、検診受診率は70%以上になりました。
早期発見が死亡者数を減らす有効性が認められました。
日本では受診率は低く、マンモグラフィーと視・触診の組み合わせ検診の受診者は全国で9.3%、
東京都は8.3%にすぎません。
受診率の良い県は山形、富山、鹿児島、岐阜、佐賀、鳥取、香川、山梨、広島ですが、
20%以下のところがほとんどです。関東地方の受診率は5~9%です。
武蔵野市も受診率の向上が課題です。
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乳腺症
内分泌環境、妊娠・授乳により乳腺構造は変化します。
広い意味の乳腺症は心配ありませんが、硬化性腺症やADH、多発性嚢胞は経過観察を要します。
線維腺腫
好発年齢は15歳から35歳。良性腫瘤の3割を占めます。
痛みを伴わない可動性良好な腫瘤です。
病理学的に管内型、管周囲型、類臓器型、乳腺症型に分かれます。
乳腺症型は細胞診などで診断が難しいタイプです。
画像上は充実腺管がんとの鑑別診断が難しいケースがあります。